まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

高校生活AとB

東京に住むKさんのお宅へ遊びに行ってきた。
Kさんちの大きいお兄ちゃんはうちの息子の親友で、
Kさんちの末っ子のお嬢さんはうちの娘の親友で、
わたし自身もKさんママと仲良くさせてもらっている。
伺うたびに長っ尻になっちゃって反省してるけど、
今回もお昼ご飯もお夕飯もご馳走になってしまった。
センター試験まで1ヶ月を切ってるうちのお兄ちゃんは当然残留。
 
Kさんちのお兄ちゃんは都立高校に通っている。
そこは結構な名門高校で、難関大学へも沢山合格者を出しているし、
総理大臣経験者の母校でもある学校。
しかし、そこでの高校生活は、うちの息子が通う田舎の名門校のそれとは全く違っていた。
 
都立某高校の高校生活
・体育祭と文化祭のために1年間がある。
 その準備に時間をたっぷり取れるよう、カリキュラムが組まれている。
 生徒も教員も全精力を傾けた文化祭は面白い出し物や展示が目白押し。
 生徒の思い出に残る一大イベントとなっている。
・ユニークな先生が沢山いて、ユニークな授業を展開している。
 例えば数学の先生だけれど音楽がプロ級の腕前、とか。
 そういうユニークな先生がユニークな人生観などを沢山語り、
 生徒の中にはそういうものに影響されて進路を決める者も沢山いる。
・ユニークな生徒が沢山いる。
 「えーっ、息子と同じ高校生なのか?!」と思うような話を沢山聞いた。
 とにかく、生徒がそれぞれのやり方で学校生活を大いに楽しんでいるようだ。
 
田舎の進学校の高校生活
・体育祭や文化祭は勉強の邪魔になるもの、が本音。
 一応体育祭等日数は取られているが、その期間の宿題は普段の5割り増し。
 生徒は文化祭の間も空き教室などで宿題をしているのが現状。
・先生は田舎のエリートコースの王道を歩いた人ばかり。
 国立大付属小~付属中~名門某高校~東大という田舎エリートゴールデンコース。
 小さい頃から親の期待を一身に集めて勉強漬けの人生を歩んできた人ばかり。
 口を開けば「センターまであと○○日」「ライバル校の生徒は今頃・・・。」
 たまに人生を語る先生がいても、入試に関係ない話なので生徒は耳の回路をオフにして黙殺。
・和三盆で作った打ち菓子みたいに均質な生徒ばかり。
 高校に入るまでの人生も部活と勉強、高校三年間も部活と勉強。
 「楽しむのは罪悪だ」という大人の価値観の下で生きているようにしか見えない。
 「いい大学を出ていい会社に就職していい給料をもらって親をラクさせてくれ」
 という親の期待をかなえるべく一心不乱に眉間にしわを寄せて受験に備える三年間。
 
これだけの違いがあるというのに、進学実績は大して変わらないのだ。
それに、もし息子が通う学校の方が進学実績が良かったとしても、
それが一体何になるだろう。
大人になったらほとんど何の意味もない、受験に必要な知識しか身に着けてない学生と、
さまざまな人とさまざまな形で触れ合い、生きる力を身に着けてる学生と、
どちらが幸せな人生を歩んでいけるだろうか。
 
息子が通う進学校では、連日朝から夕方遅くまで「センター講習」が行われている。
1年生に入った途端に山のような宿題漬けの生活、
今までに蓄積した疲労のピークが受験本番に来るという素晴らしい調整の仕方。
そこで言われるのは昔懐かしい根性論だ。
・・・あれ?
そういうやり方で、確か男子柔道は金メダル無しに終わったのではなかっただろうか?
 
未だに山のように連日出される宿題に一層やせて顔色が悪くなっていく息子を見て、
Kさんちのお兄ちゃんのあっけらかんとした笑顔を思い出し、
なんだか暗い気持ちにさせられてしまうわたしなのだった。