まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

お疲れ様でした、林家たい平さん。

毎日小学生新聞(我が家はまだ購読中)に毎週日曜掲載されていた、
「たい平流 落語毎小亭」が昨日の連載で終了した。

最終回となった第90回目は「死神」だった。
働くのが大っ嫌いな男が借金で首が回らなくなり、
「もう死んじまおうかなあ」と思っていると老人姿の死神が現れ、
アジャラモクレン、テケレッツのパー」という呪文を教える。
病人の足元に死神がいるとき、この呪文を唱えれば死神が消えて命が助かるという。
男は「医者」の看板を掲げ、病人を助けて大金をもうけるが・・・という話。

毎回楽しみしていたのが、たい平さんによる「落語の楽しみ方」というコラム。
今回のものは特に素晴らしかったので、是非紹介したい。

>みんなの仕事は学校に行って勉強することだよね。大人になったら社会に出て、
>働かなくちゃいけない。働くというのは、自分が誰かの役に立つということ。
>仕事をすることで、社会の一員として認められるんだよ。
>この話の男は、いつも「働きたくないなあ、楽してお金持ちになれないかなあ」
>なんてことばかり考えている。今回は死神が近づいてきたけど、死神よりもたちが悪い
>なまけた人間が集まってきてしまうよ。そうならないように毎日を大切に、
>一生懸命生きること。”友達は自分を映す鏡”今の自分はどうなのかは友達を見ればわかるんだ。

さらに「これからも”自分”を見つけていこう」と題して、

>命を大切にすること。自分の命も、他人の命もね。
>神さまが与えてくれた”命”を大切にすることによって、自分が出会うすべての命に優しくなれる。
>それにはまず自分のことを好きになってあげること。
自分のイヤなところばかりを見ないで、自分のいいところを探して応援してあげよう。
>自分の一番の応援団は自分なんだから。
>今、みんなが”自分”って思っている自分のこと、どれくらい知っているかなあ。
>まだまだ知らない特技や特徴があるかもしれないよ。
>それを見つけるために、友達と学校で生活したり、遊んだりする時間があるのだと思う。

という文章が続き、最後は落語「死神」の内容と関連づけて

>みんなのろうそくは今、太く赤く長々と燃えている。
>神さまがくださった”命”を大切にね。

と結ばれている。
(引用中下線は栗ようかんによる)

苛めたり、苛められたり、それが原因で自殺してしまったり・・・。
日本の子供を巡る問題の根底には低すぎる「自己肯定感」があると言われている。
たい平さんが書いておられる通り、
「自分のイヤなところばかり見ないで自分のいいところを探」して、
「自分が自分の一番の応援団」になれるように子供たちを導いていくには、
わたしたち親がまず、子供たちのイヤなところばかり探していないで、
いいところを探して行かなければならないし、
率先して子供たちの応援団の一員にならなければならないと思う。

それにしても・・・。
たい平さんの人間を見る眼差しの優しさ、
社会に向き合う視線の真っ直ぐな生真面目さに感動してしまった。

素晴らしい連載をありがとうございました、たい平さん。
これからのますますのご活躍を楽しみにしております。