レビー小体型認知症か?!
義父はこのところ急に、激しい幻覚を訴えるようになった。
義父いわく、
「紙芝居の絵が一枚、急に生活の中にポーンと入って来る感じ」。
20人近くもの子供が、居間のソファにひしめき合う様が見えたり、
制服姿の見知らぬ男性に「お前のことは死ぬまで許さない」とすごまれたり、
全く見覚えのない顔の写真が目の前に数十枚も現れたり、
眠れずに見上げた天井に年取った男性が浮かんでいたり・・・と言ったような光景が、
現実のものとしか思えないほど鮮明に見えるのだと言う。
義父は「これは夢みたいなものだ。現実ではないのだ」と必死で考えていて、
そのことで頭が一杯になってしまい、非常にイライラするようだ。
そうなるとイライラを忘れようとして酒を飲んでしまい、
酒を飲むとますますイライラして攻撃的になる。
義母に結局ぶつけはしなかったものの、
先日ちゃぶ台を持ち上げてぶつける素振りを見せたと言う。
そのことを含めて幻覚について主治医に夫が相談しに行った。
すると主治医(総合病院から紹介された、街の開業医)は開口一番
「うーん、もしかするとレビー小体型かもしれませんねえ」
総合病院で受けたMRI撮影だけでは判別出来ないそうだ。
激しい幻覚やパーキンソン病の症状などが出たりしてはじめて、
「レビー小体型では?」と気付く、というような感じらしい。
とりあえずメマリー5mgを朝に3錠飲ませるように指示を受ける。
あとは不穏時のみ頓服で飲ませる「ドネペジル」という薬ももらった。
夫の実家がある隣町へ薬を届けに行く。
義父はぼんやりと表情の薄くなった顔をしていた。
「お加減は如何ですか?」と水を向けると、
せきを切ったように幻覚の話を訴えてきた。
質問を交えながら義父の話を聞いていると、
なかなか言葉が浮かばない義父にイライラさせられるせいだろう、
義母が「幻覚なんかでない。ただの夢だ、夢。大騒ぎすることでないから」
などと茶々を入れて来る。
義父がへそを曲げたら最後なのに・・・と義母の勇者体質に苦笑するしかなかった。
義母にはパーキンソン病の症状(前かがみで小さな歩幅で歩く、手先が急に不器用になる、など)
について書いた紙を渡し、義父の様子をチェックしてくれるよう頼んだ。
レビー小体型はアルツハイマー型に比べて進行が速く、
寝たきりになるまで時間がかからないことが多いらしい。
とにかく、注意深く観察をして行かないと!