まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

中高年女性を仕事の戦力として活用せよ!

労働人口が減少する中、労働力としての女性をもっと活用すべき!という声が大きくなった。
 
しかし、である。
この場合何歳くらいまでの女性が想定されているかを考えると、
新卒~せいぜい30代前半くらいまでだろう。
世の中の常識として、仕事の戦力として使えるのはそういった若い世代の女性だけ、
おばさん以降の世代は戦力外だと考えられているのだ。
現に求人情報誌を見てみよ。
40代以降の女性にも応募を許されている仕事と言えば、
介護や食事の支度などの福祉施設での仕事とビル清掃、
あとはラブホテルでのベッドメイキングくらいなもの。
要するに、「中高年女性は人材として使えない」と思われているのである。
 
もったいない、実にもったいない。
確かに中高年女性は、若い女性に比べて仕事を覚えるのに時間がかかる。
PCの操作など、なかなか覚えられないかもしれない。
しかし、出来ないことに関しては、若い世代がカバーすればいいのである。
仕事をする上で全員が同じだけのスキルを持っている必要はない。
出来る者が出来ない者をサポートする、そういう当たり前の方法で十分対応できる。
 
世の人々はほとんど気付いていないようだが、
中高年女性は若い女性が絶対に持っていないものすごいスキルを持っているのだ。
第一に「潤滑油」としての働きである。
そりゃあ、美しい外見で周りの人々の目を楽しませることはほぼ出来ないけれど、
それまでの数十年の積み重ねにより、細やかな気配りが出来るようになっているのである。
落ち込んでそうな人に笑顔で声を掛ける、相談に乗る。
しかも、それが実生活での実体験に裏打ちされてるんだからね。
社内にカウンセラーを大量に配置したようなものである。
第二に「柔軟性」である。
妻として、母として、嫁として、娘として、女として、数々の修羅場を潜り抜けて来てる中高年女性は、
実は打たれ強く、かつ危機管理能力にも優れていることが多い。
ただ、そういったスキルを発揮出来る場所がないか、
旦那さまの手前、発動させることなく隠していることが多いけれど。
(そういった女性の能力が発揮された例として、東日本大震災後の被災地のことを考えてみて欲しい。)
第三に「粘り強さと我慢強さ」である。
子育てでも、介護でも、看病でも、とにかく女性として数十年生きて来るためには、
「粘り強さと我慢強さ」が必須である。
おばさん以降世代は愚痴をこぼし、涙をこぼし、翌日からまた頑張り続ける力を持っている。
これが、仕事をする上でどれだけの力になり得るか、働いている人ならよく知っているだろう。
 
そして、もう一つ。
決して忘れてはならないことは、中高年女性はもはや育児を気にせずに存分に働けるということである。
30代前半くらいまでの女性が仕事をするということは、
完全に育児と仕事とが時期的に重なってしまうことを意味する。
そういった問題は、保育園を大量に作って待機児童をなくせば解決出来ると思われているようだが、
問題の本質は実はそこではないと思う。
誰も子どもと時間を気にせずに向き合ってくれる人がいなくなることこそが問題なのである。
わたしは、なにも保育士さんたちの仕事ぶりに問題があると言っているのではない。
しかし、本来一人の子どもに対して複数注がれるべき大人の目が、
反対に複数の子どもに対して一人の保育士の目しか注がれない、
そういった育て方をすることこそが、
現在社会問題になっているような「いじめ」や「自殺」「引きこもり」の大きな原因になっているのではないか、
と思っているからなのだ。
(「女性だけに子育てを押し付け、女性の社会参加の機会を奪う、
女性蔑視の考え方に賛同するのか!」と考える向きもあろうが、そうではない。
第一、「キャシャーンがやらねば誰がやる」じゃないけど、
女性がやらなきゃ、一体誰が子供を育てるって言うのか。
この話を始めると長くなるから、これは別の記事にしようと思う。)
 
45歳の女性を雇ったとして、現在の日本人女性なら、大抵70歳くらいまでは元気だろうから、
なんと25年働き続けてくれる労働力となるのである。
しかも、女性が働く上でハードルとなると考えられている結婚も出産も育児も、
全てクリアした状態からスタートしている、安定した労働力としての女性。
これを活用することなく、ただ清掃とかラブホテルのベッドメイキングとかにしか使わないなんて、
これを愚の骨頂と呼ばずして、何を呼ぶ。
中高年女性を仕事の戦力として活用せよ!
保育園を増設する前に、中高年女性向けの職業訓練校を作るべきだ!
わたしはそう考える。