まだまだいなかのねずみ

日本の片隅で妻・母・非正規雇用者している栗ようかんの思索と日常

笑い、のち恐怖~毎日新聞日曜くらぶの記事から~

笑いましたね、この記事を読んで。
笑った後で、うすら寒くなりました。
 
毎日新聞読者じゃない方のために
記事を要約してみます。
 
 
新潮45 7月号、週刊SPA!9月17日・24日号では、
ともに「ポエム化」というものが取り上げられている。
新潮45ではコラムニストの小田嶋隆氏が、
「ポエム」=詩になり損ねた何か
という定義を行っている。
それは例えば思春期の頃に書いた詩に代表される、
「説明放棄」で「幼児退行」した、一見詩的なもの。
それが新聞やニュース、普通の大人が書いた文章の中にも蔓延していると。
週刊SPA!ではその具体的事例を挙げている。
それは例えば、
「天空に舞い踊る星々のトレモロ」(タワーマンションの宣伝コピー)、
「自分史上最高のキミに会いに行く」(某大学のコピー)、
「国の乱れは宇宙の乱れ ニンニク入れますか?」(ラーメン屋)
 
そして直接そうは言っていないものの、
「ポエム化」が著しいものの代表として「メンズナックル」という雑誌を取り上げ、
その中に登場するアパレル関係の男性の言葉を紹介している。
それは例えば、
「ブランドに命を賭ける。俺の流儀は愚直にそれだけ。」、
「僕のアングラな世界観、そして僕と言うカリスマに思う存分惹きつけられてくれ!」
と言った具合。
 
そして、記事の最後はこんな風に結ばれている。
>ちなみに、ポエム化したコピーをライトノベルのタイトル風にすると
>こんなふうになります。
>「俺のタワーマンションがこんなに天空を舞い踊っているわけがない」
>・・・ポエム化した日本は衰退しました。
毎日新聞 日曜くらぶ9月29日号7面 萩原魚雷「雑誌のハシゴ」)
 
いやあ、笑いましたね。
そして、本当にうすら寒くなりました。
特に「メンズナックル」(直訳すると「男の拳」!)で紹介されている方々。
恥ずかしさのあまり穴を掘って隠れたくならないんでしょうか、
こんな戯言(失礼!)を、多分黒づくめの服を着てシルバーのアクセサリーなんか着けて、
「俺ってカッコいいだろ?」ってポーズの写真と共に紹介されちゃっても。
「大言壮語」って言葉は死語になっちゃったんでしょうか。
ビッグ・マウスって軽蔑されなくなっちゃったんでしょうか。
 
何故だか「張り子の虎」という言葉が思い浮かびました。
中身もないくせに、それを意味ありげな言葉で飾り立て、
5割増し、7割増しに見せかけているというのに、
「見せかけている」という事実を忘れ大物ぶって恰好を付けて。
滑稽であり、哀れでもある。
「さあ、どこからでもかかって来い!」と大仰なファイティング・ポーズを取ってみても、
その足元は、と言ったら、
しっかり根を下ろしているどころか、実は地に足さえ付いていないというありさま。
 
それが、その「自称カリスマ」の方々や、
変わったコピーで人々の関心を集めたい不動産屋、大学などの
ごく一部だけに起こっていることならいいのですが。
記事の最後にあったように、それが現在の日本の衰退の原因だとしたら・・・。
うすら寒い、どころの話ではなくなりますね。